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【コラム】オンライン診療の目的とメリットについて

コラム

こんにちは。医師転職支援の「メディカルプラスキャリア」です。
本日のコラムは「オンライン診療」をテーマに、その目的やメリットから今後の展望などについて解説いたします。オンライン診療にご興味お持ちの先生はご参考いただけますと幸いです。

1:オンライン診療とは

オンライン診療とは、対面診療ではなく、パソコンやスマートフォンなどの情報通信機器を使用し、医師が遠隔で患者さんをリアルタイムに診察・診断を行う行為のことをいいます。1997年に日本におけるオンライン診療の前身である「遠隔医療」として遠隔診療ガイドラインが制定されました。その対象や目的としては「離島・へき地での診療」や「特定の慢性疾患の患者」などの医療提供を目的として制定されました。

近年では、コロナ感染症の影響や医療技術と情報通信技術の進歩の影響もあり、新たな診療形式として広まりつつあるオンライン診療ですが、日本では、今後、ますます高齢化が進み、地方での医師不足の課題・問題など考えると、オンライン診療の必要性はさらに高ってくると予想されます。また、厚生労働省の「オンライン診療の適切な実施に関する指針」の中に医師は、オンライン診療に責任を有する者として、研修を受講することが義務とされておりますので、下記にURLを記載致します。

*参考:厚生労働省
「オンライン診療研修実施概要」

https://telemed-training.jp/entry
「オンライン診療の適切な実施に関する指針」
https://www.mhlw.go.jp/content/001126064.pdf

2:オンライン診療の目的

オンライン診療の目的としては、「患者さんの場所や時間に縛られることなく医療を受ける機会が増加し、医療のアクセシビリティを高めること」です。前章でご紹介した指針の中には下記事項が記載されておりますので、ご確認ください。

●患者さんの日常生活の情報も得ることにより、医療の質のさらなる向上に結び付けていく
こと。
●医療を必要とする患者さんに対して、医療に対するアクセシビリティ(アクセスの容易性)を確保し、よりよい医療を得られる機会を増やすこと。
●患者さんが治療に能動的に参画することにより、治療の効果を最大化することを目的として行われるべきものである。

医師及び患者さんは、以上を念頭に置いたうえで、オンライン診療を行うことが大切です。また厚労省の指針では遠隔医療の中でも、医師の判断を伴う場合と伴わない場合とに分かれているため、内容を把握しておく必要がございます。下記にオンライン診療を定義する代表的な用語について解説致します。

①.オンライン診療

「オンライン診療」とは、医師と患者さんが情報通信機器を通じて患者さんとコミュニケーションを取り、診療・診断を行い、診断結果の伝達や処方等の診療行為をリアルタイムで行う行為とされております。この形式の診療では、ビデオ通話などのデジタル通信手段を使用して、遠隔地にいる患者さんと医療提供者が直接対面せずに健康に関する情報を交換します。

②.オンライン受診勧奨

「オンライン受診勧奨」とは、「医師と患者さんが、情報通信機器を通じて患者さんの診療を行い、リアルタイムで診療を行ったうえで、医療機関への受診勧奨を行う行為」を指します。
患者さんからの症状の訴えや、問診などの心身状態の情報収集に基づき、疑いのある疾患等を判断し、疾患名を列挙し、受診すべき適切な診療科を選択するなど、患者さんの心身状態に応じた必要最低限の医学的判断を伴う受診勧奨を行います。また、一般用医薬品を用いた自宅療養を含む経過観察や非受診の勧奨も、可能です。

注意する点としては、具体的な疾患名を挙げて、これにり患している旨や医学的判断に基づく疾患の治療方針を伝達すること、一般用医薬品の具体的な使用を指示すること、処方等を行うことオンライン診療に分類されます。これらの行為はオンライン受診勧奨では行ってはなりません。なお、社会通念上明らかに医療機関を受診するほどではない症状の患者さんに対して経過観察や非受診の指示を行うような場合や、患者さんの個別的な状態に応じた医学的な判断を伴わない一般的な受診勧奨については遠隔健康医療相談として実施することが可能です。

③.診療前相談

「診療前相談」は、日頃より直接の対面診療を重ねている等、患者さんと直接的な関係が存在する医師(かかりつけ医)以外の医師が初診からのオンライン診療を行おうとする場合(医師が患者さんの医学的情報を十分に把握できる場合を除く)に、医師と患者さんの間で映像を用いたリアルタイムのやりとりを行い、医師が患者さんの症状及び医学的情報を確認する行為を指します。適切な情報が把握でき、医師及び患者さんの双方がオンラインでの診療が可能であると判断し、相互に合意した場合にオンライン診療を実施することが可能です。また、オンライン診療を実施する場合においては、診療前相談で得た情報を診療録に記載する必要があり、オンライン診療に至らなかった場合にも診療前相談の記録は保存しておくことが望ましいとされております。※なお、診療前相談は、診断、処方その他の診療行為は含まない行為です。

④.遠隔健康医療相談(医師、医師以外)

「遠隔健康医療相談」は、医師が行うものと医師以外が行うものに分かれます。医師が行う遠隔健康医療相談とは、情報通信機器を活用して得た情報をもとに、患者さん個人の心身状態に応じた必要な医学的助言を行う行為のことをいいます。患者さんの状態を踏まえた診察や診断などの具体的な判断は行わず、あくまで助言のみの対応が基本です。また、医師以外の者が相談を受ける場合は、一般的な医学情報の提供や受診勧奨に限定され、患者さんの状態を踏まえ、り患の可能性の提示や診断など、医学的判断を行うことはできません。以下の図をご参考ください。

オンライン診療について
*出典:厚生労働省「オンライン診療の適切な実施に関する指針」(P6~P8)
https://www.mhlw.go.jp/content/001126064.pdf
*出典:厚生労働省 「オンライン診療の適切な実施に関する指針」改定の概要(P1)
https://www.mhlw.go.jp/content/001123361.pdf

3:オンライン診療のメリットとは

では、オンライン診療のメリットとはなんでしょうか。本章では患者さん及び医療施設双方のメリットについてご説明いたします。まずは患者さんの代表的なメリットの3つをみていきましょう。

オンライン診療【患者さんのメリット】

●アクセシビリティの向上
遠隔地に住んでいて交通手段が限られる患者さんにとって、オンライン診療を行うことにより、医療サービスを容易に受けられるようになります。また、様々な理由で来院することが難しい患者さんにとって、定期的な健康管理やフォローアップを可能にします。

●時間とコスト削減
待合室での待ち時間や通院にかかる時間の軽減や、交通費など患者さんの経済的な負担が軽減されます。

●感染リスクを抑えられる
コロナ感染症、インフルエンザなどの流行病が発生しているとき、来院する必要がないため、高齢者や免疫が弱い患者さんは感染症のリスクを抑えられます。

上記では患者さんに目線を置き、メリットをご説明致しましたが、一方で医療施設側のメリットはなんでしょうか。下記に医療施設側の代表的なメリットの3つを解説致します。

オンライン診療【医療施設側のメリット】

●患者層の拡大
オンライン診療を提供することで、医療施設は地理的な制約を超え、より広い範囲の患者さんにサービスを提供することが可能です。これにより、新たな患者層を開拓し、施設の収入源を増やすことが可能になります。

●効率的な管理と満足度の向上
オンライン診療は診療スケジュールの管理を効率化し、待合室の混雑を軽減します。これにより、職員の勤務形態にも柔軟性が生まれ、ワークライフバランスが改善、また施設の運営効率が向上することにより、患者さんのメリットもあることから顧客満足度も高まり、長期的な患者関係を築くことができます。

●院内感染のリスクを減らせる
流行病が発生している時期には、オンライン診療により施設内での患者間の接触を減らし、患者さん、スタッフの感染リスクを軽減できます。

4:オンライン診療の課題

これまでの説明で、オンライン診療は、患者さんと医療施設側の双方にメリットがあることをご理解いただいたかと思います。しかし一方で、オンライン診療の普及を妨げる課題もございます。課題の一つとして、対面面談とは違い、モニター越しに患者さんの状態を確認するため、触診や視診が出来ず、レントゲン、血液検査などの各種検査を行えません。そのような事から、情報量が少なく、対面診療と比べて、患者さんの状態を正確に判断することが難しいのも一つの要因です。

また、高齢者の方で情報通信機器の利用が不慣れな方が一定数おり、スマートフォンやパソコンの操作が難しく、ビデオ通話に慣れていない方にとってオンライン診療は大きなハードルとなります。実際にビデオ通話を行ったことがある方ならご経験ある方もいるかと思いますが、通信環境が悪く、音声が聞き取りにくい、ビデオ通話が途中で切れてしまうケースもございます。日本オンライン診療研究会のオンライン診療に関するアンケート集計結果の中では「通信不良により、診療が行えなかった」「通信不良により、コミュニケーションが十分取れなかった」といった回答が多くございました。


*出典:日本オンライン診療研究会「オンライン診療に関するアンケート集計結果」(20231021)https://www.mhlw.go.jp/content/10803000/000504416.pdf 

5:オンライン診療の今後の展望

今後ますます高齢化が進む日本では、働き方の多様化もあり、医療施設に出向かなくても医療サービスを受けることのできるオンライン診療のニーズは、拡大することが見込まれます。前章にて課題についてもご説明致しましたが、オンライン診療は、患者さんにとってメリットが大きいことに加えて、対面でないがゆえに懸念される医療の質についても、情報通信機器の進化により、速度の向上やAIの発展、さらにこれまで蓄積したビッグデータを活用するなどの最新技術との統合により、さらに進化することが予想されます。これらの技術は、診療・診断の精度を高め、健康管理をより効果的に行うことを可能にし、医療システムのデジタル化が進むことで、オンライン診療はより広範な形で実施されるようになると予想されます。

6:最後に

いかがでしたでしょうか。オンライン診療は、日本の医療システムにおいて革新的な役割を果たしています。この技術の普及により、医師やスタッフはより柔軟な働き方を選択できるようになり、地域に関わらず多くの患者さんに対して質の高い医療サービスを提供できるようになります。また、今後の技術革新などにより、オンライン診療はさらに多くの患者さんと医師にとって魅力的な選択肢となるでしょう。本コラムでは、転職を考えている医師やオンライン診療に興味を持つ方に向けて、オンライン診療の目的から課題、メリット及び今後の展望について解説致しました。オンライン診療を経験している先生やこれからオンライン診療の導入を検討している施設様、また、初めてオンライン診療に挑戦しようと考えている医師がおりましたら、どんな些細なお悩みでも構いませんので、お気軽にご相談ください。

また、厚生労働省のHPには「オンライン診療の適切な実施に関する指針」に関するQ&A
が掲載されています。ご不明な点を合わせてご参考ください。
≪厚生労働省HP≫「オンライン診療の適切な実施に関する指針」に関するQ&A
https://www.mhlw.go.jp/content/001173209.pdf

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また今回はオンライン診療についてのコラムとなっておりましたが、下記「医療現場のDX化がもたらす未来」も合わせてご一読いただけますと幸いです。
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