こんにちは。医師転職支援の「メディカルプラスキャリア」です。
本日は「医師の年収」に焦点を当て、医師の平均年収はどの程度なのか、年代や男女別、診療科目の年収事情から、どうすれば年収をアップできるのか等について、解説いたします。「周りの医師はどのくらい収入を得ているのか?」「将来収入を上げるにはどうすればよいか」など、ご興味のある先生は是非ご参考いただけますと幸いです。
1:医師の平均年収の統計データ
まず医師全体の平均年収はいくらなのでしょうか。いくつか発表されているデータをみてみましょう。まずは、厚生労働省が毎年発表している「令和4年賃金構造基本統計調査」、いわゆる「賃金コンセンサス」(※1)で確認してみます。
(※1)賃金コンセンサスとは
1964年の労働省令に基づいて行われるもので、労働者のさまざまな特徴(雇用形態、就業形態、職種、性別、年齢、学歴、勤続年数、経験年数など)とその人たちの受け取る賃金との関係を調べるための調査の結果をまとめたものです。
これによると令和4年の平均年収は「約1,429万円」(平均年齢44.1歳、勤続年数6.2年 ※2)となっております。令和3年の平均年収が「1378.3万円」だったことから、令和4年には約50万円の年収アップした事が発表されております。このデータは企業規模10人以上で働く勤務医が広く含まれておりますので、全体から見たご自身の年収がどの程度なのかを図る一つの目安になるかと思います。
(※2)平均年収の算出方法
「賃金コンセンサス」内、毎月「きまって支給する現金給与額」×12カ月+「年間賞与、その他特別給与額」から算出しています。
ここからは将来の予測をしやすくするため、医師の平均年収を様々な角度から見ていきたいと思います。
2:企業規模別の医師平均年収
まず「企業(法人)規模」で分けた場合です。
ここでは企業(法人)規模が1000人以上、100~999人、10~99人の3段階でみていきたいと思います。
ご覧いただければわかる通り、企業(法人)規模が小さくなればなるほど、平均年収が上がっていきます。
企業(法人)規模が大きい大学病院などは若手医師が多く在籍しており、そのため年収が抑えられる傾向があり、反対にライフイベントや年齢を重ねる中で大学病院からクリニックなどの比較的小規模の企業(法人)に経験豊富なベテラン医師が転職をすることから、給与が上がる傾向にあるようです。また勤続年数も小規模の企業(法人)が長く、クリニック院長や部長職などの役職についていることも、平均年収を上げている要因かと思われます。
3:性別による医師平均年収
医師の平均年収に、性別による医師平均年収に傾向はあるのでしょうか。
上記企業(法人)規模別の平均年収を参考にしながら、比較してみたいと思います。
全体として、男性医師の年収が高い傾向がでています。考えられる理由としては、
●平均年齢が女性医師の方が6.5歳若いため、経験による年収差が出ている
●勤続年数についても1.9年男性医師の方が長い
などがあげられます。メディカルプラスキャリアにご相談いただく女性医師の中でも、家庭とのバランスやライフステージを考慮しながら転職先を探されるケースが多く、男性医師と比べ時短勤務や週の勤務日数を少なく希望される傾向があることも理由かと思われます。
4:診療科目による医師平均年収
つづいて診療科目ごとの医師平均年収を見ていきたいと思います。少し古いデータになりますが、2011年12月におこなわれた「独立行政法人労働政策研究・研修機構」の「勤務医の就労実態と意識に関する調査」によると平均年収の一位が「脳神経外科」となっております。
*出典:勤務医の就労実態と意識に関する調査
https://www.jil.go.jp/institute/research/2012/documents/0102.pdf
「内科系」と比べた場合「外科系」の診療科目のほうが平均年収の高い傾向となっております。メディカルプラスキャリアでお預かりする求人についても同じような傾向はありますが、上記と合わせて「自由診療の有無」がございます。
調査のあった10数年前と比べ、美容クリニックを中心に自由診療の認知が増え、皮膚科・外科であれ美容皮膚科や美容外科。眼科であれば、レーシックやICL。心療内科であればTMSなど、保険診療ではなく、自由診療を取り入れる、または専門で行うクリニックも増えており、そういったクリニックの求人については高年収の求人になっているケースが多く見受けられます。
例えば、眼科ICLのクリニックでは30代半ばの眼科専門医に3,000万円の年収提示もあり、上記の診療科目の平均年収の約3倍の年収提示もございます。
自由診療とはいえ、ベースとなる高い専門性が求められる自由診療がある一方、診療科目不問の求人としてはAGAや痩身(メディカルダイエット)などは「未経験可」で募集していることも多いため、他科から自由診療にチャレンジしたい先生には挑戦しやすいのではないでしょうか。
5:年齢・経験による医師平均年収
最後に年齢別・経験別の医師平均年収を見ていきたいと思います。まずは年齢別です。
年齢別による年収については40代までが右肩上がりで上昇し、50代以降は横ばい、60代から少しずつ減少していきます。特に40代後半については上り幅も大きく、昇格やポジション付の転職などで給与がアップしているケースが多いものと思われます。
メディカルプラスキャリアに寄せられる求人についても院長(管理医師)や部長職などのポジションは40代のキャリアがしっかりしている医師を募集されたいとのご相談は多く寄せられています。
つづいて経験年数による推移になります。
こちらは綺麗に右肩上がりに推移しています。
転職時の給与計算などは「医師免許取得年数」から計算して提示されることもあり、経験年数を積み重ねることで一定の割合で給与は増えていく図式となっています。
15年以上の経験がどのような推移になっているかはデータがないため不明ですが、年齢による年収推移をみると、20~25年程度の経験で年収が最高額に達し、その後横ばい、減少傾向になると推測されます。
6:医師が年収を上げる方法は?
それでは医師が給与を今より増やすには、どのような方法があるでしょうか。給与に差が出る理由は様々ですが、以下のような方法がありますのでご参考までにご覧ください。
① 勤務時間を増やす(勤務日数・当直・非常勤など)
現職を続けながら給与を増やす方法になります。同じ勤務先であれば勤務時間を増やすことによって給与を増やすことも可能です。例えば、現在週4日で勤務しているのを週5日勤務に変更する、当直を行う(当直の回数を増やす)などです。
勤務日数や勤務時間が増えるわけですから、確実に給与を増やすことが可能です。ただしプライベートとの調整は必要になり、現職での人員の状況にもよりますのでご家族や勤務先への相談が必要です。また、勤務日数を1日分増やす際、現在の勤務先で勤務日数を1日増やすか、それとも別の非常勤先を探して1日勤務するかについては、迷うところになるかと思います。しかし収入を増やすことをメインに考えた場合、「別に非常勤先を探して勤務する」ことが、よりメリットが大きくなることが多いです。
都内近郊では時給1万円(1日8万円)が非常勤先の一つの目安になっており、1年を52週で考えた場合、約400万円の年収のアップとなります。一般的に時間給で見た場合、常勤より非常勤で勤務したほうが時間給は高めに設定されていることが多く、都内でも日給10万円を超える求人がございます。勤務先を1日増やす場合には、現勤務先で勤務日を1日増やすか、若しくは非常勤で外に勤務を行うかを選択する際には、年収が約400万円増加するかが一つの判断目安となります。
「もしそうであれば、非常勤で常勤と同じ勤務日数働いたほうが、給与が増える可能性があるのではないか?」といった考えもあります。確かに短期的な収入でみた場合には、非常勤先を複数持ち勤務した方が、年収の高いケースもございます。しかしながら雇用の安定性に関しては、常勤よりも不安定性が高まります。例えば雇用主の都合で契約が更新されない可能性があり、他の求人を探索する際に先生の希望する条件の求人が見つからない可能性などが考えられます。また常勤勤務だからこを身につく手技や知識もあり、これらが長期的な収入向上に寄与することがありますので、長期的な視点で給与をアップさせるためには、常勤と非常勤を組み合わせた働き方をおすすめいたします。
② 役職につく
こちらは現職でも転職でも可能ではありますが、役職につくことを目指す方法です。
院長などの役職につけば、管理医師手当やインセンティブなどで+αの収入を得ることができます。キャリアを積むうえでも役職の経験は無駄にはなりません。ただ、現職でそれを叶えようとするといつそのような話が出てくるかはわからない、また組織構成に鑑み将来的にポジションの空きがない状態がおおむね予測できるといった状況であれば、非現実的かもしれません。十分な経験を積み現職ではそのチャンスがつかめそうにない場合には、転職というのも一つの方法になります。
③ 資格を取得する
専門医や指定医などの資格を取得する方法です。
ご自身のキャリアと直結し、さらに収入を上げることもできる方法になります。この場合、まず勤務先に資格取得による給与のアップが見込めるかどうか、またその資格が勤務先で取得可能かを確認してみてください。もし取得可能であれば、資格取得に向けて必要な援助を勤務先に打診してみると良いかと思います。
デメリットとしては、資格取得までに時間が必要な点があげられます。長期的な視点ではメリットが大きくなりますが、短期的な視点では実現が難しいかもしれません。
④ 年収の高い求人に転職する
つづいて転職を前提とした収入のアップです。
例えば、こちらの医師転職支援サイト「メディカルプラスキャリア」にて求人検索していただければお分かりになるかと思いますが、同じ診療科目でも給与については様々です。募集をしている法人や勤務地、また役職やタイミングなどにより提示される給与は変わってまいります。
条件の良い転職をご希望の場合、効率的に情報を収集することが必要です。事前に転職支援会社に希望条件を伝えたうえで、条件の良い求人が出た場合、すぐに連絡をもらえるようエージェントと関係性を作っておくことが重要です。
また条件の良い求人が見つかった場合には、素早く応募を検討することも重要です。その理由は、自身が「条件が良い」を感じる求人は、他の方も「条件が良い」と感じる求人であることが多く、すぐに募集が埋まってしまう可能性が高いからです。
⑤ 年収が高い診療科に転科する
こちらも転職前提の話になりますが、年収の高い診療科医への転科といった方法がございます。転科は簡単なものではありません。しかし前述した通り診療科目によって、給与の差がございます。その為給与が出やすい診療科目・業務に転科・転職することも一つの方法です。
この場合は未経験からの転科というリスクと引き換えに、転科をしても給与があがる診療科目や業務を選ばなければなりません。
現在、未経験・転科でも高収入が出やすい診療科目・業務としては、
●自由診療
●訪問診療
上記2つになります。
自由診療については美容皮膚・美容外科を筆頭に、痩身・AGA・TMS等様々あります。手技やオペが必要になるものから、マニュアルを読むことで業務がスタートできる負荷の少ない求人もあります。共通していえることは自由診療であるがために、先生が患者さんから選ばれるかどうかが重要になっており、いわゆるコミュニケーションスキルなどが求められることが多いです。
⑥ 開業をする
転職とは異なりますが開業も選択肢になります。
厚生労働省の医療経済実態調査によると、開業医の平均年収は約2,807万円とされています。
*参考:第23回医療経済実態調査 (医療機関等調査)報告 令和3年実施 https://www.mhlw.go.jp/bunya/iryouhoken/database/zenpan/jittaityousa/dl/23_houkoku_iryoukikan.pdf
開業医の年収は、勤務医の平均年収の1.5倍になります。こちらの年収データは1施設(クリニック)で開業した場合になり、医療法人などで複数のクリニックを運営した場合はそれ以上の年収となります。もちろん開業となると医療だけでなく経営や集客に伴うマーケティングの知識なども必要となりますし、開業にあたり、初期費用も高額になります。それでも経営がうまくいけばよいのですが、開業後に患者さんがすぐには集まるかどうかわからないなどのリスクもあります。
開業のリスクを下げるための方法・選択肢としては、新規の開業だけでなく、すでに運営し患者さんがついているクリニックを継承するという選択肢もございます。患者さんがすでについておりますので、継承後すぐに収益が上がりやすく、また過去の実績からどの程度の収益が見込まれるかの予想を立てやすいことも大きいメリットになります。
知り合いのつてなどで継承できるクリニックを探す方法もありますが、仲介をしてくれる継承専門のコンサルタントに相談をし、第三者の客観的な意見を聞きながら、進めていく方法もございます。
クリニックの継承に興味のある先生は、ぜひこちらの弊社サービスをご覧ください。
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7:まとめ
医師の年収については診療科目や法人の規模や年齢、経験などいくつもの要素を踏まえて決まっていきます。より高い給与を目指すためには業務内容や診療科目などの選定が必要になりますが、ただ、年収だけで仕事へのやりがいが決まるわけではありません。「どんな業務なのか?」「自身は成長できるのか?」「患者さんに必要な診療ができるのか?」「プライベートとのバランスは?」など複数の項目のバランスの上で本当の仕事のやりがいがあるのではないでしょうか。
現在の勤務先でそれが実現できていれば、一番かと思いますが、もし転職の検討が必要となった場合には、お気軽に弊社「メディカルプラスキャリア」まで相談ください。
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