こんにちは。医師転職支援の「メディカルプラスキャリア」です。
本日は「美容医療業界で働く」ことに焦点をあてたコラムとなっています。
美容医療業界とは?美容皮膚科と美容外科の違いは?市場の成長性や美容医療業界で働くことのメリットやデメリットなど美容医療業界で働くことを考えるうえで気になる情報をお伝えしたいと思います。
「美容医療業界への転科を考えているけど不安」「どんなメリットやデメリットがあるの?」「ずっと続けられるの?」などご興味ある先生は是非参考にしていただければ幸いです。
1:美容医療業界の規模と成長性
美容医療業界は大きく「美容外科」と「美容皮膚科」に分かれます。
二重まぶた切開法、鼻整形、フェイスリフト、脂肪吸引、豊胸など、メスを使用する施術を行うのが「美容外科」。ヒアルロン酸注入、レーザー脱毛、ボトックス注入、フォトトリートメントなど、メスを使用しない施術を行うのが「美容皮膚科」となっています。実際には「美容外科」・「美容皮膚科」どちらか片方のみを標榜しているクリニックもありますが、「美容皮膚科・美容外科」と双方を標榜しているクリニックや「形成外科・美容外科」「皮膚科・美容皮膚科」など保険診療と合わせて標榜しているクリニックもあります。
では、そんな美容医療業界の市場規模はどのようになっているのでしょうか。
1-1:美容医療業界の市場規模とは
SNSやTV・インターネットなどの影響で、以前より美容医療を受診する心理的ハードルは下がっており、そのため美容医療業界の市場規模は成長を続けています。矢野経済研究所提供の資料によると、2011年以降でコロナ発生前の2019年まで、美容医療の市場規模は順調に成長しており、2011年2,610億円、2014年2,833億円、2017年3,252億円、2019年4,070億円と右肩上がりになっています。
*グラフ出典元:「矢野経済研究所」HPの以下URL内資料より抜粋
https://www.yano.co.jp/press-release/show/press_id/3286
https://www.yano.co.jp/opinion/190701.html
1-2:美容外科標榜のクリニックも増加傾向
市場の成長とともに標榜する医療機関の件数も増えています。美容外科を標榜するクリニックをみると、2020年時点で1,404件となっており、その後も大手美容クリニックの新規開院や他業種からの参入により、多くの美容外科クリニックが誕生しています。また美容皮膚科を標榜しているクリニックまで含めると、さらに数が膨れると予想されます。
参考:「令和2(2020)年医療施設(静態・動態)調査(確定数)・病院報告の概況」
市場の成長とともに、行われる施術の内容も変化しています。
2014年は外科手術(美容外科領域)が57.6%・非外科施術(美容皮膚科領域)が42.4%と、外科施術の比率が過半数を超えていましたが、2017年には外科手術45.3%・非外科施術54.7%と構成比が逆転、2019年は外科手術33.9%・非外科施術66.1%と、皮膚科施術などを含む非外科施術の比率が上昇しています。これは美容医療を受診される患者さんの裾野が広がることにより増加した美容医療のライト層が、外科的手術に比べ、リーズナブルでリスクも低い皮膚科施術を支持したのが理由と考えられます。
今後についても、いわゆる「Z世代」では美容医療をポジティブにとらえており、引き続き美容医療の業界は成長が予想されています。
2:職場としての美容医療の特徴
自由診療であるがゆえに、保険診療とは異なる特徴が美容医療にはあります。
ここからは、美容医療業界で勤務する立場からの特徴をみていきたいとおもいます。
2-1:開院しているエリアが集中している
診療圏が保険診療と比べ広い美容医療は、遠方からもアクセスがしやすいように、都心部やターミナル駅の周辺に固まって開院される傾向があります。例えば、東京では新宿・渋谷・池袋・銀座などです。集患がしやすいよう開院しているわけですが、同時に働く医師からしても通勤がしやすい立地に多くのクリニックが開院しています。
2-2:開院の時間が遅く、また土日祝勤務もあり
開業エリアが固まって開院される理由と同じ「集患」という理由で、開院時間が遅くなる傾向があります。患者さんは勤務後や休日に来院することが多く、そのため多くの美容医療クリニックでは19時や20時まで開院されており、また土日祝日も開院しています。どうしても患者さんの多い時間帯が、平日の夜間や土日祝日になるので、平日のみの勤務を希望してもなかなか受け入れてもらえないことが多く、場合によっては「土・日・祝の出勤必須」などの求人もあります。
基本的に予約制になっていますので、長時間の残業が発生することはほとんどありませんが、「終業時間をできるだけ早くしたい」とお考えの先生には合わないかもしれません。
2-3:複数クリニックの掛け持ちでの勤務
こちらは大手の美容医療クリニックに見られますが、勤務先をひとつのクリニック限定せず、通勤可能な範囲の複数のクリニックで勤務するというもので、中には「月〇回の出張あり」など長距離の出張も含んでの勤務体系になることもあります。
その理由としては、様々なクリニックを経験することにより、同じ医療法人内でも開院しているエリアによって、患者層が変わるため、必要な施術・症例数が変わり、医師の技術向上につながることや、急な休みや退職による欠員への対応のためとなっております。勤務するクリニックを固定にすることも相談できる求人もありますが、その場合は給与が抑えられる傾向があります。
2-4:クリニックに従事する医師の平均年齢が若い
厚生労働省「令和2(2020)年医師・歯科医師・薬剤師統計の概況」によると、クリニックで勤務する医師全体の平均年齢は60.2歳になりますが、美容外科医だけでみますと43.5歳になります。
これは美容医療業界の市場が他の診療科目に比べ歴史が浅いことと、また大手美容外科・美容皮膚科などが初期研修後の大量採用を進めたため、平均年齢が低下しているものと考えられます。
3:美容医療業界で働くメリット
つづいて転職の選択肢として美容医療業界をみた場合、働くメリットは何でしょうか。美容医療ではたらくメリットをいくつか挙げていきたいと思います。
3-1:高収入
美容外科・美容皮膚科ともにいえることですが、保険診療のみのクリニックとくらべると、比較的高い収入を得ることが可能です。初期研修後でも1,000万円を超える求人や中には2,000万円を超える求人などもあり、若い先生からは人気の診療科目となっています。
3-2:当直やオンコールが無い
先ほど開院時間が遅いといいましたが、美容外科・美容皮膚科では当直やオンコールなどはありません。病院勤務の場合、当直やオンコールの対応などがあり「気持ちが休まらない」というお話は良く聞きます。急な呼び出しはありませんので、勤務後や休日に、家族との時間をゆっくりと過ごすことも可能です。
3-3:独立開院がしやすい
独立志向のある先生からすると、こちらもメリットになるかと思います。
美容外科・美容皮膚科ともに、SNSなどで発信をすることが多く、クリニックだけでなく、医師個人に患者さんがついてくることもあります。また高収入でもありますので、開業資金をためやすく、将来独立開院を目指されている先生からは、ひとつの選択肢になりうるかと思います。
4:美容医療業界で働くデメリット
メリットの反対にデメリットはどんなことがあるでしょうか。
一部をご紹介していきたいと思います。
4-1:医療知識・施術だけでなく、コミュニケーションやマーケティングスキルが必要
美容皮膚科・美容外科で安定して収益を上げるためには医療の知識や施術の技術だけでは不十分です。
ひとつ目は「コミュニケーション能力」です。
美容医療では、患者さんの外見に対する「希望」を理解することから始まります。患者さんが自身の外見についてどんな変化を希望しているか、施術にあたりどんな不安を抱えているのかをしっかり理解しなければ、患者さんが満足する結果を得ることはできません。
患者さんの希望や不安を理解し、信頼関係を築くためにもコミュニケーション能力は大変重要になっており、コミュニケーションがうまくとれていないとクレームに繋がることもあります。
ふたつ目は「マーケティング能力」です。
主にSNSでの発信になりますが、患者さんに興味をもってもらう、選んでもらうためにどのような発信をおこなっていくかを考えて、発信を継続して行っていくことが必要になってきます。
一定以上の規模の法人であれば管理部門が対応していくこともありますが、それでも意見を求められることや撮影の協力なども必要になってきますので知識を身につけておく必要あります。
患者さんは美容医療を選ぶ際には、口コミやSNSなどを判断材料にすることも多いので、コミュニケーションで悪い印象を与えたしまった場合や患者さんに好まれるSNSの発信ができないと患者数の減少に繋がってしまいます。コミュニケーションやSNSの苦手な先生からするとこのあたりはデメリットにあるのではないでしょうか。
4-2:クレームへの対応
美容医療の場合、病気や不調を治すためではなく、「よりきれいになりたい」「若く見られたい」「自身の理想に近づけたい」といった「希望」から高額な料金をはらって施術をうけることになるため、シビアにその結果を求められます。
患者さんが描いていた希望と異なる結果になれば、患者さんからのクレームを受けることも十分にありえます。クレームが発生しないためにも、患者さんが「何を求めているのか」「実現可能なのかどうか」などコミュニケーションを十分におこない、またその一方で、施術の腕を磨き続け、患者さんの希望を叶える技術を身につけることが必要になっております。
5:まとめ
美容医療業界はまだ成長が見込まれる市場になっています。ただ、市場規模が拡大すると同時に新規で参入する医療機関や他業種からの参入、また大手法人による開院により、クリニック間の競争が激しくなっており、すべてのクリニックの経営が順調ということではありません。
メディカルプラスキャリアに相談いただく先生方の中には「どの美容医療のクリニックならつぶれませんか?」とご質問いただくことがございますが、経営がうまくいくかどうかについては様々な要因が絡んでいるため「ここなら大丈夫です。」と100%いえるわけではありません。ただ一つ言えることは、「スキルやコミュニケーション能力を身につけた先生はずっと活躍しつづけることが可能」ということです。
現在、美容医療で活躍されている先生や、これから美容医療への転職をお考えの先生方には、コミュニケーション能力やスキルを磨きつづけていただき、長く美容医療の医師としてご活躍いただければと思います。
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