03-3525-4307

お電話受付時間 9:00 ~ 19:00(月~金)

【コラム】医療現場のDX化がもたらす未来:医師の転職に与える影響とは?

コラム

こんにちは。医師転職支援会社の「メディカルプラスキャリア」です。今回のコラムは「医療現場のDX化がもたらす未来:医師の転職に与える影響とは?」をテーマにお送りいたします。

医療DX(デジタルトランスフォーメーション)という言葉は最近よく耳にしますが、具体的にはどのようなものなのかはっきりとしていない方も多いのではないでしょうか。本記事では転職を検討している医師の皆さまに向け、「医療DXとは何なのか」をご説明いたします。医療DXが進むことで今後の転職市場にどのように影響を与えるのかについて解説しますので、ご一読いただけますと幸いです。

1:医療現場におけるDXの概要

まずは医療DXとは何なのか簡単に説明いたします。「DX」とは「デジタルトランスフォーメーション」の略称であり、「デジタル技術によって、仕組みやスタイルを変化させること」を指しています。以下に厚生労働省で掲載されている「医療DXとは」について引用記載いたします。

≪医療DXとは≫
保健・医療・介護の各段階(疾病の発症予防、受診、診察・治療・薬剤処方、診断書等の作成、診療報酬の請求、医療介護の連携によるケア、地域医療連携、研究開発など)において発生する情報やデータを、全体最適された基盤(クラウドなど)を通して、保健・医療や介護関係者の業務やシステム、データ保存の外部化・共通化・標準化を図り、国民自身の予防を促進し、より良質な医療やケアを受けられるように、社会や生活の形を変えることです。
※引用:厚生労働省:https://www.mhlw.go.jp/content/10808000/000992373.pdf

要約すると、これまでは患者さんの情報が紙カルテや電子カルテなどでバラバラに保管・管理されていましたが、標準化されたデータの保存先をクラウドなどで最適に統合することにより、疾患や患者さんの情報が統合され、一人ひとりに合わせた質の高い医療が提供される仕組みを作ること、としています。

2:医療DXの背景と必要性

なぜ医療DXの推進が必要なのでしょうか。まず、日本の人口について触れさせて頂きます。日本は世界でも類をみない早さで高齢化(65歳以上)が進んでいる国あり、2023年9月15日時点で高齢化率が29.1%を超えました。高齢者数は3,623万となり、現在の日本は「超高齢社会」です。そして日本の人口は2010年を境に減少を続け、2070年には総人口9,000万を割り込み、「団塊の世代」後期高齢者(75歳以上)が2025年には全人口の約18%となることが予測されております。このような「超高齢社会」に直面する中で、日本国の維持のためには社会保障制度を将来にわたって持続することが必要であり、「国民の健康寿命の延伸」が課題です。

*参考:総務省統計局の統計
https://www.stat.go.jp/data/topics/pdf/topics138.pdf
*参考:厚生労働省
「我が国の人口について」

この課題でもある「国民の健康寿命の延伸」を解決するためにも「情報の統合・共有」が求められております。疾患の情報共有、患者さんがかかった疾患や飲み合わせの良くない薬などの情報が統合・共有されることにより、医療DXの目的でもある、

①. 国民の更なる健康増進
②. 切れ目なくより質の高い医療等の効率的な提供
③. 医療機関等の業務効率化
④. システム人材等の有効活用
⑤. 医療情報の二次利用の環境整備

上記5点の実現を目指し、課題解決に動き出しております。大変身近な一例をあげさせていただきますと、最近クリニックの受付にはマイナンバーカードをスキャンする機器が導入されており、マイナンバーカード(マイナ保険証)を保険証として利用する方も増えてきております。これまでは受付に保険証を提出し、受付の方が保険証情報を入力し、患者さんにお返ししておりましたが、待合が混んでいる時には特に受付までにお時間がかかっておりました。マイナンバーカードを保険証として、スキャンする機器を利用することにより、患者さん自ら、マイナンバーカードをカードリーダーでスキャンし、顔認証若しくは暗証番号で本人確認を行います。このような機器を利用することにより、患者さん目線では待ち時間の軽減、また、受付の職員は患者さん情報の入力業務軽減がされ、このような「変化」がDX化の一つの例です。

また、厚生労働省から医療DXの推進に関する工程表(案)が公表されております。「基本的な考え方」から「骨格」について引用記載いたしますので、ご参考ください。

基本的な考え方

医療DXに関する施策の業務を担う主体を定め、その施策を推進することにより、前章でもご説明した「①. 国民のさらなる健康増進」「②. 切れ目なく質の高い医療等の効率的な提供」「③. 医療機関等の業務効率化」「④. システム人材等の有効活用」「⑤.医療情報の二次利用の環境整備」、この5点の実現を目指していく。
そしてサイバーセキュリティを確保しつつ、医療DXを実現し、保健・医療・介護の情報を有効に活用していくことにより、より良質な医療やケアを受けることを可能にし、国民一人一人が安心して健康で豊かな生活が送れるようにする。

骨格

①. 全国医療情報プラットフォームの構築
◆オンライン資格確認等システムを拡充し、全国医療情報プラットフォームを構築。
◆2024年度中の電子処方箋の普及に努めるとともに、電子カルテ情報共有サービス(仮称)を構築し、共有する情報を拡大。
◆併せて、介護保険、予防接種、母子保健、公費負担医療や地方単独の医療費助成などに係るマイナンバーカードを利用した情報連携を実現するとともに、次の感染症危機にも対応。
◆ 2024年度中に、自治体の実施事業に係る手続きの際に必要な診断書等について、電子による提出を実現。
◆ 民間PHR事業者団体やアカデミアと連携したライフログデータの標準化や流通基盤の構築等を通じ、ユースケースの創出支援。
◆全国医療情報プラットフォームにおいて共有される医療情報の二次利用について、そのデータ提供の方針、信頼性確保のあり方、連結の方法、審査の体制、法制上あり得る課題等の論点について整理し検討するため、2023年度中に検討体制を構築。

②. 電子カルテ情報の標準化、標準型の電子カルテの検討
◆2023年度に透析情報及びアレルギーの原因となる物質のコード情報について、2024年度に蘇生処置等の関連情報や歯科・看護等の領域における関連情報について、共有を目指し標準規格化。2024年度中に、特に救急時に有用な情報等の拡充を進めるとともに、救急時に医療機関において患者さんの必要な医療情報が速やかに閲覧できる仕組みを整備。薬局との情報共有のため、必要な標準規格への対応等を検討。
◆標準型電子カルテについて、2023年度に必要な要件定義等に関する調査研究を行い、2024年度中に開発に着手。電子カルテ未導入の医療機関を含め、電子カルテ情報の共有のために必要な支援策の検討。
◆遅くとも2030年には、概ねすべての医療機関において、必要な患者さんの医療情報を共有するための電子カルテの導入を目指す。

③. 診療報酬改定DX
◆2024年度に医療機関等の各システム間の共通言語となるマスタ及びそれを活用した電子点数表を改善・提供して共通コストを削減。2026年度に共通算定モジュールを本格的に提供。共通算定モジュール等を実装した標準型レセコンや標準型電子カルテの提供により、医療機関等のシステムを抜本的に改革し、医療機関等の間接コストを極小化。
◆診療報酬改定の施行時期の後ろ倒しに関して、実施年度及び施行時期について、中央社会保険医療協議会の議論を踏まえて検討。

上記に加えて、その他「マイナンバーカードの健康保険証の一体化の加速等」「医療DXの実施主体」などが挙げられております。

*参考:厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/content/10808000/000992373.pdf
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/iryou_dx_suishin/dai2/siryou2.pdf

3:医療DXのメリット

先ほどマイナンバーカードの一例を紹介いたしましたが、その他の医療DX化が進むと患者さんや医療機関側がどのようなメリットがあるのでしょうか。患者さんと医療・介護従事者などに分け、イメージを持っていただけるよう説明いたします。

患者さんのメリット

●子どもの健診結果や予防接種歴などをスマホ一つで確認でき、医療機関の受診の際、内容を確実に伝えることができる。
●同じ成分の重複した薬や飲み合わせのよくない薬を受け取ることがなくなる。
●救急時に、検査状況や薬剤情報等が把握され、迅速に的確な治療を受けられる。
●自分の健診結果やライフログデータを活用し、自ら生活習慣病を予防する行動につなげることができる。
●予診票や接種券がデジタル化され、速やかに接種勧奨が届くのでスムーズな接種ができる。
●診断書などの自治体への提出がオンラインで可能になる。
●かかりつけ医以外の医療機関にかかっても、必要な電子カルテ情報が共有され、スムーズに診療が受けられる。
●電子カルテが普及しどの医療機関でも情報共有が可能になる。
●医療情報を二次利用することで、新たな医薬品などの研究開発が促進され、より良い治療や的確な診断が可能になる。
●処方箋を電子的に受け取れるため、オンライン診療やオンライン服薬指導をより受けやすくなる。
●過去の検査状況が閲覧可能となり、負担の大きい検査を何度も受ける必要がなくなる。
●医療・介護関係者で状況が共有され、より良いケアが受けられる。
●心拍蘇生に関する自分の意見が関係者に共有され、自らの家族が望む終末期医療を受けることができる。

医療・介護従事者、保険者・ベンダー等の関係者のメリット

●ライフケア産業などの産業振興が加速する。
●次の感染症危機への対応力の強化につながる。
●医療機関等・自治体関係者の事務負担が順次軽減され、魅力のある職場を実現する。
●医療機関と薬局での情報共有が進み、薬局の事務負担が軽減されるとともに、質の高い服薬指導を提供できる。
●救急時に、レセプト情報から受診や服薬の状況が把握でき、迅速に的確な治療の提供や医療費の削減が期待できる。
●家庭内測定の血圧をはじめライフログデータを診療に活用することが可能になる。
●患者さんの過去の検査結果や薬剤の閲覧、重複投薬などのチェックが可能となることにより、負担の大きい重複検査や重複投薬等が削減され、効率的な医療提供や医療費の削除が期待できる。
●医療・介護関係者で状況が共有され、より良い治療やケアを提供できる。
●医療機関等やベンダーにおけるシステム運用の人的・財政的コストが削減できる。
●医療情報システムをクラウド化により、システム改修の負担が軽減され、セキュリティーも確保する。
●医療情報を二次利用することで、新たな医薬品などの研究開発の環境が整備される。


これらのメリットが、2030年を目標とし、実現に向けて進んでおります。イメージしやすいよう具体的に記載いたしましたが、上記の実現により医療DXの5点の「目的」の実現に近づくのがお分かりいただけましたでしょうか。医療現場におけDX(デジタルトランスフォーメーション)は、AIやビッグデータ、クラウド技術などの導入により、医療の質が飛躍的に向上すると同時に、医師をはじめとする医療従事者の働き方にも大きな影響を及ぼすと考えられております。

*参考:内閣官房
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/iryou_dx_suishin/dai2/siryou4.pdf
*参考:工程表
https://www.mhlw.go.jp/content/12600000/001163650.pdf

4:医療DXが医師の転職にもたらす影響

では今後医療DX化が、医師が転職活動を行うにあたりどのような変化をもたらすのか、推測を交えて解説していきます。

まず、情報の共有・統合を行うにあたり「紙カルテ」では情報共有・統合が難しく、これまでは紙カルテで診察を行っていた地域のクリニックでも「電子カルテの導入」が進んでいくことが予測され、今後は紙カルテを使用する施設が少なくなると推測されます。

弊社に転職のご相談を頂く先生の中には、稀に電子カルテの操作が苦手ということで、紙カルテの施設を希望される方もいらっしゃいます。しかし医療DXが進むほどに紙カルテの施設が減少し、施設側も電子カルテを利用できる方の採用に進んでいくと思われます。これまでデジタルに疎く触っていなかった先生方も、電子カルテの利用に少しずつ慣れていくことが重要となるでしょう。

また、医師に求められるスキルも変化していくことが想定されます。従来の臨床スキルやコミュニケーションスキルに加えて、「データ分析」「情報技術の知識」が求められるようになると推測されます。今後の転職市場はこの影響を受け、デジタルスキルを持つ医師の需要が急増していくと考えており、日本が目指している医療DX時代において、転職を成功させるためにも「デジタル化に対応する柔軟な対応力」「情報の分析、活用能力」が求められていくと考えられます。

5:まとめ

いかがでしたでしょうか。医療DXと今後の転職市場を優位に進めるにあたり、先生の対策は見えてきましたでしょうか。転職を検討している医師は、医療DXの現状を理解し、必要なスキルを習得することで、転職市場での競争力を高めることができます。そのためには「継続的な学習」と「デジタルスキルの向上」を身につけることにより、自分のキャリアを発展させ、DX化された現場で活躍するための準備を進めていくことをお勧めします。弊社エージェントは先生方のお悩みなどを伺い、「満足以上の転職」を実現するため、一人ひとりに合わせた転職のご相談・ご提案を行っております。お悩みになっていることや、転職を検討している方は下記URLよりお問い合わせください。

今回は医療現場のDX化がもたらす未来についてのコラムとなっておりましたが、下記記事「オンライン診療の目的とメリットについて」も合わせてご一読いただけますと幸いです。

関連コラム:「オンライン診療の目的とメリットについて」
オンライン診療について

【メディカルプラスキャリアへの転職相談はこちらから】
・常勤での転職はこちら→https://career.medicalplus.info/full-time/
・非常勤での転職はこちら→https://career.medicalplus.info/part-time/

最新のお知らせ一覧へ戻る

医師転職支援サービス申し込み 無料