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【コラム】在宅医療の未来:市場成長と働き方のメリット(グラフ有)

コラム

こんにちは。医師転職支援の「メディカルプラスキャリア」です。本日は「在宅医療の未来」に焦点をあてたコラムとなっています。在宅医療は、医師が患者さんのご自宅や施設などに訪問し、診療や治療を行う医療です。日本は世界と比較しても高齢化が進んでいる「超高齢社会」となり、現代社会において、在宅医療の重要性と需要が急速に高まっています。本記事では、在宅医療の市場成長性と、医師が在宅診療所で働く際のメリットについて解説します。在宅医療の現状を理解し、医師としてのキャリア選択に役立てていただければ幸いです。

1:日本の人口と在宅診療の「訪問診療」と「往診」の違い

日本では、世界でも類をみない早さで高齢化(65歳以上)が進んでいる国です。以前のコラムでも記載しておりますが、2023年9月15日時点で高齢化率が29.1%を超え、高齢者数は3,623万となり、現在の日本は「超高齢社会」となっております。また、日本の人口は2010年を境に減少を続け、2070年には総人口9,000万を割り込み、「団塊の世代」後期高齢者(75歳以上)が2025年には全人口の約18%となることが予測されております。このような「超高齢社会」に直面する中で、「国民の健康寿命の延伸」が課題となり、クリニックや病院に通院できない患者さんが増えているため、今後も在宅医療の需要が益々伸びると推測されております。

*参考:総務省統計局の統計
https://www.stat.go.jp/data/topics/pdf/topics138.pdf
*参考:厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_21481.html

患者さんが自ら医療機関を受診するのではなく、通院が難しい患者さんに対して医師が患者さんのご自宅や施設に訪問し、診療や治療を行う医療を「在宅診療」といいます。在宅医療には「訪問診療」「往診」がありますが、両者の違いは何でしょうか。下記に定義を記載致しましたので、違いについてご確認ください。

《 訪問診療と往診のちがい 》
訪問診療:患者さん宅や施設に計画的、定期的に訪問し、診療を行うもの
※訪問頻度は2週間に1回、月に1回などです。
往診:患者さんの要望に応じて、都度、患者さん宅や施設を訪問し、診療を行うもの
※急な発熱や呼吸状態の悪化への対応などのほか、がん患者さんの看取りなども含まれます。

上記の説明でご理解いただけた方も多くいると思いますが、在宅医療の「訪問診療」と「往診」の違いとしては「計画的に行っているか」という点になります。「訪問診療」は計画的に予定されているものを指し、「往診」は患者さんやそのご家族の求めに応じ、お伺いすることを指しております。

本章の冒頭で、日本の高齢社会についてご説明いたしましたが、訪問診療を受ける患者さんの約9割が高齢者となっております。

また、下記データを見ると、往診料の件数は横ばいとなっておりますが、訪問診療料については、大幅に増加しており、今後高齢化が進む日本では益々必要な医療だと言えるでしょう。

*参考:厚生労働省/在宅医療の現状について(P16)
https://www.mhlw.go.jp/content/10800000/000909712.pdf

2:在宅医療の市場成長性

厚生労働省のデータによれば、日本の高齢者人口は年々増加しており、それに比例して在宅診療の需要も増加しています。戦後しばらくはご自宅で亡くなる方が大半でしたが、医療へのアクセスが改善し、有効か否かを十分に吟味することなく、死期が迫り衰弱してくると入院される傾向が強まっており、近年では終末期のケアのあり方が再考されつつあります。以下のデータを用いて見て頂くと2000年代半ばから、死亡場所に占めている医療機関割合が低下し、老人ホームやご自宅の割合が上昇しております。高齢になれば身体が弱くなり、普段から通院が困難な方が増える傾向であることから在宅患者数の押し上げの要因の一つだと思いますが、患者さん目線に立った場合にはどのようなメリットがあるのでしょうか。

*参考:日本総研「在宅医療の提供体制改革と期待される財政効果-コメディカルとICT の活用により訪問診療の効率化を」(P59)図表5
https://www.jri.co.jp/MediaLibrary/file/report/jrireview/pdf/14823.pdf

ここからは、在宅診療を希望する患者さんにとって、どのようなメリットがあるのか解説していきます。

ご自宅で最期まで過ごしたいという患者さんの希望を叶えられる

日本財団(2021)の67歳~81歳の国民を対象に調査(回答数588人)によれば6割弱(58.8%)が人生の最期を迎えたい場所として自宅を選択しております。その理由は住み慣れた場所で過ごしたい、愛着がある、自分らしく過ごしたい、家族に囲まれていたいなどが理由です。

入院医療と比較して、患者さんの健康に良い面がみられる

入院医療は、医療資源を集中的に投入し、疾病を治療することを目的としておりますが、高齢者の場合、複合的な健康問題を抱え、そもそも根治が期待できないことも少なくないです。高齢者にとって長期の入院は環境変化によるストレスや長期間の安静臥床(あんせいがしょう)などにより、フレイルを進行させ、日常動作(ADL)を下げるリスクが高いことが知られていることから、高齢化が進むにつれ、入院メリットは減少し、デメリットが増加する傾向があります。入院医療で治療を目指すよりも在宅でケアするほうが合理的と判断するケースが多いです。

入院医療と比較したコストの低さ

入院医療費は14.6兆円、在宅医療費は2.4兆円となり、在宅医療費の6倍にもなります。患者さんの状況や提供されるサービスが異なるため、金額だけの単純比較とはなりませんが、在宅医療の方が入院医療より相対的にコストが低いと結果出ております。政府もこのような在宅医療のメリットを認識し、普及を促進して参りました。2006年に在宅療養支援診療所、2008年に在宅療養支援病院それぞれに制度を導入し、24時間対応などの一定の要件を満たした在宅療養の支援に積極的に取り組む医療機関には、診療報酬を高く設定し、2025年に向けた病床再編に関するビジョンでもある地域医療構想では、在宅医療を強化しつつ、病床数を抑制する方向性が示されるなど、政府として在宅を推進する立場を明確にしております。なお、提供体制の整備は地域により格差があることが知られておりますが、死亡場所に占める自宅の割合をみると、東京都など効率的に患者さん宅への訪問が可能な「人口密度が高い」地域ほど高い傾向があり、地方などの「人口密度が低い」地域では、在宅医療を受けられずに入院や施設への入所を余儀なくされる患者さんが多い事も確認できます。

*参考:日本総研「在宅医療の提供体制改革と期待される財政効果-コメディカルとICT の活用により訪問診療の効率化を」(P60)図表6
https://www.jri.co.jp/MediaLibrary/file/report/jrireview/pdf/14823.pdf


患者さん目線に立った場合に、在宅診療が入院医療よりもニーズが高い事はご理解いただけましたでしょうか。また、在宅医療の状況として、年齢階級別にみた在宅医療を受けた推計外来患者数の表から見てみましょう。推計患者数は173.6千人ですが、65歳以上の数字を見ると159.6千人となっており、約90%以上の方が65歳以上の高齢者であることがわかります。

*参考:「厚生労働省 患者調査の概要(P4)
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/kanja/20/dl/suikeikanjya.pdf

3:訪問診療で働くメリット

では先生方にとって、訪問診療で働く医師には多くのメリットは何でしょうか。様々なメリットがございますが、今回は7つにメリットを絞り解説いたします。

①. 患者さんとの密接な関係構築:
訪問診療では、患者さんのご自宅や施設で診療を行うため、患者さんやその家族との信頼関係を築きやすくなります。患者さんの生活環境を直接見ることができるため、より個別化されたケアが可能です。

②. 患者さん生活全体を考慮した治療:
自宅環境や生活習慣を把握することで、病院やクリニックでは見えにくい患者さんの生活全体を考慮した治療が行えます。これにより、より適切な治療プランを立てやすくなります。

③. 高齢者や移動困難者への貢献:
高齢者や身体が不自由な患者さんにとって、ご自宅での診療は非常に助かります。病院までの移動が困難な患者さんに対しても医療が提供できるため、地域医療の充実に貢献できます。

④. 多職種連携の機会:
訪問診療では、介護士、看護師、理学療法士など、他の医療従事者との連携が必要です。このため、チーム医療の一環として多職種と協力して働く経験が得られます。

⑤. 柔軟な勤務時間と高額給与:
訪問診療は、勤務時間が比較的柔軟な場合が多く、自分のライフスタイルに合わせて働くことが可能です。病院のようにシフト勤務がない場合も多く、ワークライフバランスがとりやすくなります。また、比較的に高額給与の求人も多く、未経験も応募可能の求人も多いです。今から経験しておくことで、今後の転職で有利に働く事が想定されます。

⑥. 自己成長とスキルの向上:
訪問診療では、限られたリソースの中で様々な疾患に対応する必要があるため、広範な医療知識とスキルが求められます。これにより、医師としての自己成長が促されると同時に、スキルアップの機会も多いです。

⑦. 地域医療への貢献:
地域に根ざした医療を提供することで、地域社会への貢献度が高まり、地域医療の発展に寄与することができます。先生の育った町に戻り、地域医療に貢献したいとお考えの先生にはおすすめです。

4:まとめ

在宅医療の市場は、日本の高齢化と比例し、成長しており、政府も後押ししていることから、今後も成長が期待される分野です。高齢化が進む中で、在宅医療の需要はさらに高まり、在宅診療は医師にとって重要なキャリアオプションとなるでしょう。在宅診療は患者さんとの深い信頼関係を築くことができる一方で、オンコール対応が必須などの先生方にとってネガティブな面もある求人もございますが、今後の医師としてのキャリアを考える際には、これらのメリットやデメリットを十分に理解し、自分にとって最適な選択をすることが重要です。
訪問診療で働くことで得られるやりがいや患者さんとの密接な関係は、医師にとって大きな魅力だと思います。訪問診療の未来は明るく、多くの医師にとって有望な選択肢となるでしょう。

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