こんにちは。医師転職支援の「メディカルプラスキャリア」です。本日は「老健施設の仕事は実は…医師が老健施設で働くメリット・デメリット」についてのコラムとなっています。多くの先生は、免許取得後に大学関連や市中の病院などで勤務し、非常勤先として、もしくは転職先としてクリニックでの勤務を経験されているかと思います。
ただ、老健施設での勤務経験というと、ご経験されている先生は少ないのではないでしょうか。本記事では老健施設での勤務はどのようなものか、業務内容からメリット・デメリット、またどのような先生が向いているのかなどを解説いたします。
1：老健施設での医師の業務
1-1：老健施設とは
まず老健施設とはどのような施設なのか解説いたします。老健施設とは略称であり、「介護老人保健施設」を指しております。介護が必要な高齢者の方々が、家庭への復帰を目指すために、医療と介護を一体的に提供する施設となっており、医師による医学的管理の下で、看護・介護といったケア、作業療法士や理学療法士等によるリハビリテーション、また、栄養管理・食事・入浴などの日常サービスまで併せて提供する施設です。
病院と居宅の中間にあるような施設になり、慢性的な疾患を抱える高齢者の方々の療養や、機能回復のためのリハビリテーションを支援しており、比較的体調が安定している入所者が多いのが特徴になります。では具体的に老健施設で医師はどのような業務を担うのでしょうか？
1-2：老健での医師の業務
老健施設での医師の主な業務は入所者や通所者の健康管理になります。具体的には以下のような業務になります。
・回診による入所者の健康状態の確認
・必要に応じて薬の処方
・看護師やリハビリ専門職、介護スタッフへの指示
・ショートステイや通所リハビリを利用する方の健康管理
・看取り
・入退所判定
・スタッフの働きやすい職場環境づくり
・施設長を兼務している場合には、関連する業務
老健施設の医師は、慢性疾患管理、薬物療法、栄養指導といった医療行為に加え、リハビリテーションチームの一員として機能回復を支援するなど、多岐にわたる役割を担います。短期入所（ショートステイ）や通所リハビリテーションを併設する施設では、通所者の健康管理も行い、場合によっては入所者を看取ったりすることもございます。また、施設長を兼任する場合も多く、施設運営に必要なマネジメント、入所者や通所者、職員との円滑なコミュニケーションをはかることも求められています。
病院と大きな違いの一つは、入所者や通所者の健康状態を維持することが目的となり、大きな手術や治療は行わないのが特徴となります。
2：老健の医師として勤務するメリット
メリット
➀.無理なく心身の負担が少ない環境で働ける
前述した通り、老健施設では「健康管理がメイン」になりますので、大きな手術や治療を行うことはありません。治療を求められた場合には、適切な医療機関で処置を受けられるように紹介などの手続きを行います。基本的に、夜勤や当直、緊急対応などはほとんどなく、定時で退勤となること多いです。一般的な医療施設と比べて、心身への負担が少ない環境で働けるのが大きなメリットといえます。
※『所定疾患施設療養費』算定の対象となる疾患に対しては薬物療法、検査、処置などを実施し、適切な治療管理を行います。所定疾患施設療養費の対象は、以下の5つです。
・肺炎
・尿路感染症
・帯状疱疹
・蜂窩織炎
・慢性心不全(2024年追加)
②.幅広い業務の中で、新しい知見を身につけることも可能
老健施設では、医療、介護、リハビリテーションなど、多岐にわたる分野の専門家と協働し、入所者や通所者のQOL向上を目指します。そのため、高齢者医療やプライマリ・ケアに関する知見を積むことができるのは、老健施設で働くメリットといえるでしょう。
③.医療だけでなく、経験を活かして働くことができる
老健施設では、臨床経験だけでなく、コミュニケーションスキル・マネジメントスキルなどが重視されるため、ご経験を積まれたベテランの先生方が大変活躍をされております。
求人募集を行う際、老健施設側もベテランの先生方や定年後のセカンドキャリアをお考えの先生方を積極的に採用されている傾向があります。
2-2：デメリット
①.年収が他の医療機関と比べ低い
老健施設の求人は、病院やクリニックと比較すると、やや低い給与水準であることが多いです。老健施設での求人募集はおおむね下記のような給与になっています。
・週4日勤務：1000～1200万円前後
・週5日勤務：1200～1500万円前後
（※2024年9月 関東圏の老健施設求人）
地域やタイミングにより差が出ることもありますが、高収入希望であった場合はクリニックや病院での勤務をお考えになったほうが良いかもしれません。
「収入を上げたい」とお考えの先生は是非以下のコラムもご覧ください。
【コラム】年収2,000万円以上になるための医師転職戦略
②.医療技術の向上を目指す環境としては適さない
老健施設では健康管理を目的としており、大きい治療や手術などは行いません。
そのため、大学病院や市中の大病院のように特定の専門性を高める教育を受けたり、症例数を伸ばしたりすることはできない点はデメリットといえます。
3：老健施設での勤務が向いている医師
老健施設での仕事は、一般的な病院とは全く違うやりがいと魅力がございます。それではどのような先生が老健施設での勤務に向いているか、詳しくご紹介します。
➀.他職種の方との連携が取れる方
老健施設では他職種と連携しながら入所者や通所者の方の健康管理を行います。立場や専門が異なるスタッフとともに円滑に対応するためにも、丁寧なコミュニケーションをとることができる先生がマッチしております。実際の転職の場でも老健施設側はコミュニケーション能力を面接の場で確認されているケースが多いです。
➁.プライマリ・ケアの豊富な経験がある
老健では、急性期病院のように専門的な治療を行う機会は少ないですが、入所者や通所者の健康状態を見守り、生活習慣病の予防や悪化防止など、幅広い健康課題に対応することが求められます。その為、これまで臨床経験で培われた問診、触診や視診などのスキルは、入所者や通所者の些細な変化にも気づき、早期に問題に対応するために不可欠です。プライマリ・ケアの経験を活かしたいとお考えの先生にはマッチしています。
➂.比較的負担の低い勤務先で勤務したい
前述していますが、基本的に、直接、医療処置を施すことはありませんので心理的負担は少ないです。入所者や通所者の症状が比較的安定しており、物足りなさもあるかもしれませんが、その分ゆったりご勤務をすることができますので、ご家庭の事情や負荷の高い職場での勤務を避けたい先生、ご年齢を重ねそろそろゆったりしたいとお考えの先生におすすめです。
4：まとめ
いかがでしたでしょうか。老健施設の求人はよく見かけると思いますが、「勤務したことが無く業務の内容がわからない」と考えられていた先生方に、少しでも業務のイメージができたのであれば幸いです。
メディカルプラスキャリアでは多くの老健施設と連携しており、施設ごとの特徴や働き方、求める人物像など、詳細な情報を豊富に持っています。先生のご経験やキャリアプランに合わせて、最適な老健施設をご紹介できますので、ご転職をお考えの際は、ぜひお気軽にメディカルプラスキャリアにご相談ください。
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