こんにちは。医師転職支援会社の「メディカルプラスキャリア」です。今回の記事では「医師が退職・転職を決める理由ランキング ~後悔しない見極めポイント~」というテーマで解説します。先生とのご面談で退職理由を伺うと理由はさまざまですが、よくある「言いやすい表現」の裏には、評価の透明性・負荷設計・心理的安全性といった仕組みの課題が隠れていることが少なくありません。ここでは、面談のヒアリングに加え、公開データ・各種コラムの傾向も踏まえ、頻出の退職理由をランキング形式で整理しました。さらに見学・面接での見抜く質問や転職前の整理観点までコンパクトにまとめましたので、ご参考ください。
1:退職理由ランキング TOP10(“表と裏”で理解する)
まず、医師の退職・転職理由を「表(言いやすい理由)」と「裏(根っこ=仕組み)」で読み解きます。ご自身の「いまの不満」を要件の言葉に置き換えながら、次の職場で繰り返さないためのチェック観点としてお役立てください。
1位 人間関係・職場の雰囲気
《表面》 上司・同僚と合わない/指導がきつい/相談しづらい
《裏面(本質)》 心理的安全性が低い=質問・提案・早めの相談で不利益が返るかもと感じる(嘲笑・公開の叱責・機会減・評価減点など)。
《見抜く質問》 直近の意見対立はどう収束しましたか?
2位 家庭・ライフスタイル(育児・介護・転居 など)
《表面》 家庭の事情で時間帯が合わない/保育・介護が厳しい
《裏面》 制度はあるが使えない=時短・曜日固定・在宅・急な休みの実運用例がほぼ無い。
《見抜く質問》 育児・介護に伴う時短や休暇の利用実績はどの程度ありますか?
3位 給与・評価への不満
《表面》 給与が見合わない/昇給が不透明/賞与が読めない
《裏面》 何で評価が決まるか不明=目標・役割・成果と賃金の連動が文書化されていない。
《見抜く質問》 評価基準・査定プロセス・昇給の根拠は明文化されていますか?
4位 長時間労働・当直/オンコール負担
《表面》 忙しすぎる/当直明けも通常勤務/呼び出しが多い
《裏面》 運用ルールが曖昧=シフト・呼出基準・代休の条件が決まっていない/守られていない。
《見抜く質問》 直近3か月の当直回数・呼出件数・当直後の運用(免除/時短/代休)は?
5位 経営方針・ミッションの乖離・経営への不安
《表面》価値観が合わない/急な方針転換が多い/将来性が不安/この先やっていけるのか心配
《裏面》 決め方が見えない=誰が・何の指標で決めたのか不明/現場意見が反映されない。
《見抜く質問》 直近の方針転換はどう決定し、どのように説明しましたか?
6位 キャリア展望の不一致(症例の幅・役割・裁量)
《表面》 症例が伸びない/やりたい領域に触れない/裁量が狭い
《裏面》 中期計画の不在=症例配分・機器導入・役割拡大のロードマップが無い。
《見抜く質問》 来年の症例計画・役割・使用機器などお決まりでしょうか?
7位 育成・サポート体制への不満
《表面》 教わる場がない/面談がない/聞きづらい
《裏面》 育つ仕組みが欠落=メンター不在、OJTの段階基準(見学→介助→単独)が不明。
《見抜く質問》 メンター制度・面談頻度はどの程度ございますか?
8位 ハラスメント・不適切な指導
《表面》 言葉がきつい/人格否定/圧が強い
《裏面》 線引きと対処が無い=指導とパワハラの境界が共有されず、通報→調査→再発防止が回らない。
《見抜く質問》 相談窓口の実績(件数・対応フロー)と再発防止策はございますか?
9位 設備・システムの不備(カルテ/予約/導線)
《表面》 紙カルテで遅い/導線が悪くて疲れる
《裏面》 現場の声が投資計画に反映されない=更新計画・担当・期限が曖昧、医師事務補助・音声入力の導入が遅い。
《見抜く質問》 DX・効率化(カルテ・予約・医師事務作業補助・音声入力)の導入状況と次回更新計画はございますか?
10位 医局人事・転勤負担
《表面》 異動が多い/生活が安定しない
《裏面》 予見性と配慮の不足=異動の頻度・基準・本人希望の扱いが不明。家族・住居・通学への配慮が制度化されていない。
《見抜く質問》 異動頻度と本人希望の反映実例(直近1年)はありますか?
以上が“表の理由”と“根っこ(仕組み)”の全体像です。次は、年代・立場・診療科によって、どの論点の重みが変わるかを確認していきましょう。
2:年代・立場・診療科で変わる“重み”
同じ「退職理由」でも、いつ(年代)/どの立場(役割)/どんな診療体制かで重みは変わります。まずご自身に近い属性を選び、優先して確認する論点と、現場で何を見ればズレに気づけるかをそろえておきましょう。
●30代:将来設計とスキル拡張の両立期
《優先して確認すること》
症例の幅/育成の質(メンター・OJT)/専門性の伸ばし方/当直負荷
《現場で確かめる視点》
1年スパンの症例・役割計画/面談の運用(頻度・記録)/当直後の勤務ルール
●40代:裁量×報酬の整合を求める時期
《優先して確認すること》
役割・裁量の明確化/評価の透明性/報酬への連動/経営への参画機会
《現場で確かめる視点》
期待成果の定義と査定プロセス/昇給・賞与の根拠(書面)/会議体での参画状況
●50代以降:夜間負担の再設計と経験の活かし方
《優先して確認すること》
夜間・当直負担の再設計/教育・管理の比率調整/継続可能な働き方
《現場で確かめる視点》
当直・呼出の直近実績と免除基準/教育・管理業務の正式割当/体制変更時の配慮運用
●診療体制の違いで見るポイント(外来中心/当直多め)
~外来中心~
《優先して確認すること》
患者さんへの説明の質/回転率/事務負担の軽減度
《現場で確かめる視点》
予約・カルテのDX化状況/医師事務作業補助の配置・導線設計
~当直多め~
《優先して確認すること》
夜間負荷の実態/バックアップ体制/当直後の緩和策
《現場で確かめる視点》
呼出トリアージ基準と記録/当直後の運用(免除・時短・代休)/欠員時の代診運用
優先すべき論点が定まったら、次は現場でどう確かめるかです。
以下に質問集の一例を作成したのでご活用してください。
3:見学・面接での「見抜く質問」テンプレ(理由別)
見学や面接は「雰囲気を感じる場」ではなく、事実を集めて再発を防ぐ事も可能です。この章では、1章のランキングと2章の重みを踏まえて、現場でズレを見抜くための質問を整理しました。ポイントは、答えが理念や印象に流れないよう、数字・文書・直近の実例で確認することです。さらに、制度が“ある”だけでなく、実際に運用されているかまで踏み込みましょう。大きなポイントとしては2つです。
1.数字・文書・直近実例を出してもらう(理念だけはNG)
2.仕組み(あるか)と運用(回っているか)の両方を聞く
それでは以下には各理由を元に質問集を記載致します。
《 人間関係(心理的安全性/伝え方)》
・直近の意見の食い違いはどう解消しましたか?
・定期面談の頻度はどのくらいありますか?
《 労働時間・当直/オンコール(運用ルール)》
・直近3か月の当直/オンコール実績と呼び出し件数を教えてください。
・当直後の勤務は免除・時短・代休など、どの運用方法で行っておりますか?
《 給与・評価(透明性/連動性)》
・評価基準と昇給決定プロセスは明文化されていますか?
・賞与・歩合の算定式は文書化されていますか?
《 キャリア(症例設計/裁量)》
・来年以降の役割と症例の見通し、学会・研修の支援枠はありますか?
・半年/1年の期待成果を文書で定義していますか?
《 育成(メンター/OJT)》
・面談の頻度とメンター配置はございますか?
・手技の単独可(合格)基準はございますか?(見学→介助→単独の段階・条件)
《 経営方針(意思決定の透明性)》
・直近の方針転換はどう決定し、どう説明しましたか?
・品質・患者満足・収益のKPI優先順位はありますか?
《 ハラスメント(線引き/対処)》
・相談窓口の運用実績(件数・対応フロー)と再発防止の仕組みはありますか?
・言動ガイドラインや研修の有無、直近の是正事例はありますか?
4:まとめ
転職を成功へ導く鍵は、耳ざわりの良い“表の理由”ではなく、仕組みの言葉で整えた本当の理由を明確にし、見学・面接でエビデンス(数字・文書・直近実例)をもって裏取りすることにより、先生の理想の転職先を見つけ、入職後のミスマッチを防げます。年代や立場に応じて重みづけを調整し、優先すべき論点を絞り、合意事項は必ず書面化しましょう。この一連の流れがミスマッチの再発を防ぎ、先生のキャリアをより確かなものにします。
とはいえ、お一人でここまでの整理を進めるのは容易ではありません。メディカルプラスキャリアでは、短いインタビューを通じて転職理由と希望条件の言語化を支援し、先生が本当に大切にしたい「真の絶対条件」と「優先順位」の可視化をお手伝いします。質問リストのカスタマイズや条件交渉時まで丁寧に伴走いたします。どうぞお気軽にご相談ください。先生の次の一歩が、想像以上に納得度の高い選択となりますように心から祈っております。
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